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京筍と食文化

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旬のタケノコを食材として

京都の春を告げる野菜、タケノコ。
タケノコ(筍)とは、芽が出て10日以内のものを指し、それを過ぎると竹になってしまいます。
まさしくタケノコは、限られた時期の中で食される「旬」の食材です。
アジアの食文化に造詣が深い民俗学者はタケノコを旬の食材として食するのは日本人だけであろうと言います。

全国の美食家たちに、京タケノコは大きさ、柔らかさ、風味において日本一と絶賛されております。
それは京タケノコを我が子のように愛し、竹林を養い、守り、土を柔らかくして土壌を豊かにする京都人の知恵と工夫が凝らされているからだと言います。

タケノコと言っても竹にはいろいろな種類があります。
タケノコ料理にはモウソウチクから使い始め、ハチク、マダケへと変わります。
現在、食用としているタケノコではモウソウチクが最も多く、タケノコの型も一番大型です。
なかでも京タケノコは12月に土入れして、地下茎を保護し、土壌に養分を与えて良質のタケノコを育てます。
厳しい冬を暖かい土の中で過ごしたタケノコは色白で、ずんぐりと太って肉厚で、とても柔らかく、香りもよく、エグ味も少なく、絶品の美味しさです。

ハチクは寒さに強く、マダケはモウソウチクやハチクより寒さには弱いようです。
食材として、ハチクは地上部にタケノコが頭を出してから掘り出しても柔らかく、色は少し黄色味を帯びていますが、エグ味も少なく歯触りがあるのが特徴です。
マダケのタケノコはモウソウチクやハチクに比べてエグ味が強いように思うので、ハチクやマダケは炊き合わせに使うことが多いと思います。

京都では京タケノコが終わると、ハチク、マダケへと変えていきます。

ヤブで違うタケノコの味

ヤブで違うタケノコの味

竹茂では京都、長岡京市の2軒のタケノコ農家と契約して仕入れています。
タケノコは天候により収穫時期が多少ずれ、暖かくて、雨が多いと早くでます。

私は3月中頃に栽培農家に電話で藪の状況を聞き、タケノコが出始めると毎朝取りに行きます。
同じように手入れされた藪でも、日当たりや地質で味が違ってきます。
エグ味が少なく、美味しいタケノコはそういったタケノコが出る藪まで行って、直接仕入れなければなりません。

苦労はありますが、直接仕入れに行けば他の藪のタケノコと混ざることも無く、朝掘りの高品質で、均一なタケノコを入手できます。

朝堀りタケノコ

京タケノコは「朝掘り」というイメージが定着しています。

朝に掘ったタケノコをすぐに調理して食する。
それは鮮度を保つというだけではなく、タケノコにはアクがあり、時間が経つとアクが強くなるからです。

タケノコのアクは鮮度によってアク抜きの方法も違います。
朝掘りタケノコは早朝に掘り出したタケノコですが、それを2、3時間後かあるいは昼頃までに入手して調理(下処理)してこそ、朝掘りの意味があります。

タケノコは時間が経てば経つほどに質が落ちて、アクが強くなり、エグ味も出てきますのでできるだけ早く湯がかなければなりません。

朝堀りタケノコ
朝堀りタケノコ

タケノコのアクの成分はホモゲンチジン酸とシュウ酸です。

シュウ酸は時間が経つにつれ2、3倍と増えるので、朝掘りのタケノコでもできるだけ早く湯がきます。

また、タケノコを湯がく時には米糠を入れますが、これは米糠がとけた茹で汁にシュウ酸が溶け出すのと、米糠の酵素の働きでタケノコが柔らかくなるからです。

ある実験では米糠を入れた茹で汁には、入れないときの数十倍のシュウ酸が溶け出し、タケノコに残ったシュウ酸は約半分になっているという結果が出ています。

タケノコ料理の種類

タケノコ料理の種類

タケノコ料理と言うとまず誰もが若竹煮を思い出されると思います。

確かに、タケノコ料理を代表するのが若竹煮だと言えます。
ワカメの香り、タケノコという里の味、さらに木の芽の山の香りの三味のとりあわせが味わい深い料理です。
この深い味わいをお椀に仕立てたのが「若竹のお椀」で、走りのタケノコをさらっと味付けした初物として楽しめます。

その他、伝統料理として田楽などもあります。

家庭料理として、木の芽合え、炊き込みご飯などもあり、家庭で比較的簡単に作れて美味しい料理、それがタケノコ料理です。

地元のお客さまにもタケノコ料理を良く食べに来ていただいていますが、やはりワカメとタケノコという出会いのものを使い、最もタケノコの味と香りが口の中に広がり、春の訪れと季節感が味わえる「若竹煮」、それと鰹節のきいた出汁を使い、追いガツオで仕立てた「土佐煮」が好まれ、大きな器に盛られた若竹煮と土佐煮をペロッと食べて帰られるお客様も多いです。

タケノコにはタンパク質、澱粉、脂肪の他に各種ビタミンなどタマネギやキャベツに匹敵する栄養素が含まれています。
先と根で味が異なるように、栄養分も異なり、先の方ほどホルモンや栄養分が多く、根元に近いほど繊維質とタンパク質が豊富と言われます。

京野菜の主役「たけのこ」

京野菜の主役 「たけのこ」

京野菜など歴史に育まれた産品には「京のブランド産品」マークが張られるようになり、ここ長岡京市でも「花菜」が認定されています。

この事業は消費者の皆様から「おいしさと信頼」を得るために、行政と農業関係団体、流通業界が一体となって取り組んでおられます。

こうした日々研鑽されて栽培された食材は京料理には欠かせません。

「京のブランド産品」として乙訓地域では物集女の「京タケノコ」が認定されています。

長岡京市の京タケノコは農家の直販が盛んで、市場に出す量が少ないため認定はされていません。

京タケノコは季節感を大切にする京都らしい旬の食材として育まれ、料理人が京料理の伝統の上に創作を加えて主役にふさわしいタケノコ料理を生み出します。